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弱視の治療

弱視とは

弱視は、一般的に「通常の教育をうけるのが困難なほどの低視力」として使われることが多くあります。医学的には「視力の発達が障害されておきた低視力」の状態を指し眼鏡をかけても視力が十分でない場合をさします。ここでは医学的弱視を「弱視」として説明します。

視力も成長に伴ってだんだん獲得する能力です。0歳では0.1ぐらいの視力しかなく、3歳ごろに大人と同じ視力に達するとされます。

この視力の成長期に、何らかの邪魔が入って正常な視力の成長が止まってしまい、眼鏡をかけてもよく見えない状態を「弱視」と呼びます。

視力の成長は、他の成長と同じくいつかは止まり、感受性期=10歳頃を過ぎると治療に反応しにくくなります。早期に治療を開始するほど、治療に反応して視力が改善していきます。

弱視の種類と原因
屈折異常弱視

遠視・近視・乱視といった屈折異常が両眼とも強いためにおこる、両眼の視力障害です。

いちばん多いのは遠視です。程度が強ければ近視や乱視でも屈折異常弱視を発症しますが、遠視は近くでも遠くでもピントが合わない状態なので、眼鏡をかけない限り、くっきりとものを見ることができません。生まれつきいつもはっきりものが見えていない状態でいると、視力が成長しにくくなります。それに対して近視では遠くが見えにくいですが、近くのものはピントが合うため、弱視にはなりにくいです。ただし極端に近視が強いと弱視になります。

治療:調節麻痺剤を用いて正確に屈折検査を行い適切なメガネを装用することで治療を行います。眼鏡をかけることで視力の成長を促します。

不同視弱視

不同視弱視とは、遠視・近視・乱視に左右差が強いためにおこる、片眼の視力障害です。
片目の視力は正常に発達しているため、生活上に不自由はなく、周囲からは全く判りません。片眼性の弱視であるため、屈折異常の弱い眼の視力は良好であることが多いです。度数の差が、2D (ジオプター)以上あると不同視弱視になる可能性が高まります。遠視は近くでも遠くでもピントが合わない状態なので、眼鏡をかけない限り、くっきりとしたものを見ることが出来ません。そのため、生まれつきはっきりものがみえないため、視力が成長しにくくなります。それに対して近視では遠くは遠視側の目で、近くは近視側の目で見るため、不同視弱視にはなりにくいです。ただし極端に近視が強いと弱視になります。

治療:まずは屈折異常を矯正するために眼鏡を装用することが大切です。屈折異常弱視と同様に眼鏡を装用して様子をみていきます。弱視眼の視力の改善が思わしくない場合は、健眼遮閉(片目をアイパッチなどで隠す)を行います。アトロピンという薬剤を健眼に点眼する治療もあります。視力の左右差がなくなり、安定して視力が維持できれば、健眼遮閉は終了となります。

斜視弱視

斜視は、右眼と左眼の視線が違う場所に向かっている状態です。斜視弱視とは、斜視があるためにおこる、片眼の視力成長障害です。片眼性の弱視であるため、斜視のない眼の視力は良好であることが多いです。

斜視が原因で斜視の眼では網膜の中心部分(中心窩)で物を見ていないため、斜視眼の視力が発達せず弱視になります。

治療:屈折異常を伴うことが多い為、屈折異常弱視と同様に適切な眼鏡を装用し状態に応じで、視力を上げるために健眼遮閉を行います。

形態覚遮断弱視

形態覚遮断弱視とは、乳幼児期に形態覚(見るための刺激)を遮断することによって、視力低下をきたしたものです。

遮断する要因として先天白内障、眼窩腫瘍、眼瞼腫瘍、角膜混濁、高度の眼瞼下垂、眼帯装用などのために、片方の目を使わない期間があることが原因です。

治療:形態覚遮断の原因になる疾患の有無を調べます。また、眼底検査で形態覚遮断の原因以外の器質疾患を除外する必要があります。原因疾患をできるだけ取り除くことが第一です。先天白内障では水晶体の混濁の程度に応じて、水晶体摘出手術が行われます。また、必要に応じて屈折矯正や健眼遮閉などの弱視治療が行われます。

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